有村大誠君(左)にマウンドを譲る中井雄亮君⑩=18日、阪神甲子園球場、内田光撮影
(18日、高校野球、秀岳館4―1常総学院)
動画もニュースも「バーチャル高校野球」
秀岳館(熊本)は18日、準々決勝で常総学院(茨城)を4―1で破り、夏は初めてとなる4強進出を決めた。奇(く)しくも、投手コーチの山口幸七(こうひち)さん(32)は15年前も常総学院相手にリリーフした。今大会は、3試合すべてを3人の継投で勝ち上がってきた秀岳館投手陣を切り盛りする。
3点リードながら九回1死満塁のピンチ。ブルペンで投球練習する右投げの有村大誠君(3年)のもとに、先発で5回を投げた川端健斗君(2年)が走り、山口コーチからの言葉を伝えた。「後が右打者だからいくかもしれない。いつでもいけるように」
2死となって右打者のところ、鍛治舎巧監督は好投してきた中継ぎの左投げ、中井雄亮君(3年)から継投。左打者が代打で出たが、有村君は渾身(こんしん)の直球を外角低めに決め三振を奪った。
「自分がそうだったから、リリーフの気持ちがわかる。事前に伝えて気持ちを整えてあげたかった」と山口コーチは話す。
15年前の夏。第83回大会の2回戦でも秀岳館は常総学院と戦った。このときにリリーフしたのが山口コーチだ。3―0の八回から登板し、完封リレーで勝利した。大学を卒業後、教員として母校に戻り、2008年にコーチに就任した。
5人の投手を擁する秀岳館では登板投手と継投の順番は鍛治舎監督が組み立てる。山口コーチは選手への助言などで支える。常総学院戦の前日も「相手は振ってくるからボール球も交ぜながら」と助言、ベンチでは先発の川端君に「体が開いてるぞ」と声をかけた。
山口コーチは「他の投手が好投すれば自分もと思う。この相乗効果が継投の良さ」と話す。20日の準決勝も継投が予想される。「どんなに厳しい場面でも自信を持って選手を送り出したい」(大森浩志郎)