すぐに発送できるよう、紙箱は郵便局で準備している=徳島市八百屋町1丁目
![写真・図版](http://www.asahicom.jp/articles/images/AS20160830001990_commL.jpg)
売り物にならない規格外のスダチを、郵送料のみで差し上げます――。農家の人手不足から無駄になっていたスダチを活用し、「ゆうパック」の売り上げ増も狙うサービスを徳島市など徳島県内の郵便局が始め、利用客に喜ばれている。
スダチを提供しているのは徳島中央、川内、徳島末広、徳島城南、徳島八万、徳島大学病院内と阿南の7郵便局。約1キロ入る紙箱を用意し、ゆうパックで発送する人に限り、好きなだけ詰めてもらう。各郵便局に20キロずつ置いており、なくなり次第、終了する。1箱の送料は関東が850円、関西が620円などだ。
市内の女性(89)は東京に暮らす幼なじみに送るため、徳島中央郵便局を訪れた。「捨ててしまうのはもったいない。向こうで子どもや近所に配ってもらおうと、2箱送ります」
発案したのは、日本郵便四国支社・県営業統括本部長の磯崎道也さん(55)。ゆうパックの売り上げを、どうやって伸ばそうかと頭を悩ませていた時、神山町でスダチを栽培する農家から聞いた話を思い出した。
「人手が足りず、実がなっても収穫していない木がある。もったいない」
磯崎さんは市内の郵便局に協力を呼びかけ、局員や家族ら約30人とともに今月28日、神山町の農園を訪れた。2時間かけて約300キロを収穫させてもらい、29日から郵便局に並べた。
提供しているスダチは市場に流通する商品とは違い、栽培の過程で余分な実を摘むといった手入れがされていない。大きさはまちまちでキズが目立ち、葉もついたままだ。
郵便局ではJAから仕入れた等級の高いスダチを贈答用に販売しているが、それとは競合しないと磯崎さんは考えた。「徳島のスダチをもっと盛り上げたい。好評なら来年も続けたい」と話す。問い合わせは県営業統括本部(088・626・5940)へ。(三上元)