妊婦の血液で胎児の染色体の異常を調べる新型出生前診断について、日本医学会が認可していない東京の民間団体と大阪の病院が、指針に外れた検査のあっせんに乗り出していることが18日、わかった。日本産科婦人科学会(日産婦)と日本医学会が対応を協議する。
新型出生前診断は、遺伝カウンセリング体制の整備など日産婦の指針に基づき、日本医学会が認可した全国74カ所の医療機関で臨床研究として実施されている。現在、出産時に35歳以上などの妊婦を対象に3種類の染色体異常で検査をしている。
あっせんに乗り出していることがわかったのは、東京の民間団体「花園先端医学研究所」と大阪市内の奥野病院。いずれも採取した血液を英国の検査会社に送って調べるという。年齢制限はなく、3種類以外にも性染色体異常も判定可能だとしている。
花園先端医学研究所は、ホームページを通じて「検査を受けたくても受けることができない妊婦が多くいることも大きな問題だ。違法性がない限り検査を提供すべきだ」などとする見解を発表。一方、日産婦の会員でもある奥野病院の奥野幸彦院長は、取材に「海外で広くやられている検査が、日本でできないのはおかしい。妊婦の希望に沿いたい」と話した。今月から受け付けを始め、来週にも採血を始める予定だという。
日産婦倫理委員長の苛原(いらはら)稔・徳島大教授は「会員が会告に従っていないとすればゆゆしき事態」とし、指針に外れた検査のあっせんについて、来月の倫理委員会で対応を協議するという。日本医学会でも理事会での協議を検討している。(福宮智代)