初公判に出廷した内間利幸被告=福岡地裁小倉支部、イラスト・船田倫子
福岡県豊前市で昨年1月、小学5年の女児(当時10)が殺害された事件で、殺人や死体遺棄の罪に問われた土建業、内間利幸被告(47)=同市=の裁判員裁判の初公判が12日、福岡地裁小倉支部(柴田寿宏裁判長)であった。
検察側は、立証するのは殺人、死体遺棄、強姦(ごうかん)致死、わいせつ目的誘拐の4罪だと明らかにした。内間被告は死体遺棄罪は認めたが、「殺意はありませんでした」などと述べ、他の三つの罪を否認した。
起訴状などによると、内間被告は昨年1月31日、強姦目的で豊前市内の知人宅に女児を連れ込み、首を絞め殺害。遺体をバッグに入れて運び、自宅に遺棄したなどとされる。
女児は内間被告の内縁の妻の子と同級生で、被告とも顔見知りだった。検察側は冒頭陳述で、事件当日、同級生と遊ぶために母親に車で送ってもらった女児が一人になったところで内間被告が声をかけ、近くの民家に連れ込んだ後、暴行したうえ口封じの目的で首を絞めて殺害したと主張した。その後、遺体をバッグに押し込めて車で自宅に戻り、2階の押し入れに遺棄したとしている。
一方、弁護側は女児とは顔なじみで、事件前から親密な間柄だったとして、女児が内間被告について行ったのは、同意の上だったと主張。わいせつな行為をしたことは認めたが、死亡した経緯については「女児が大きな声を出したため、手で口をふさいだだけ」などとし、殺意を否認した。
このため、わいせつ目的誘拐罪や強姦致死罪、殺人罪にはあたらず、強制わいせつ致死罪にとどまるとした。死体遺棄罪については認めた。
また量刑に関して弁護側は、反省の気持ちがあるなどとして「有期懲役刑が相当」と裁判員らに訴えた。(井石栄司、宮野拓也)