取材に応じる東芝の橋本紀晃・上席常務=15日午前、東証
不正会計問題を受けて「特設注意市場銘柄」に指定されている東芝が15日、内部管理体制の改善状況などをまとめた報告書を東京証券取引所に提出した。東証は指定解除の可否を審査し、早ければ年内にも判断する。東芝は、市場での資金調達再開に向けて早期の指定解除を期待するが、企業風土の改善は道半ばだ。
「さまざまな改善策に取り組み、確実にやってきている」。15日午前、東証を訪れて報告書を提出した東芝の橋本紀晃・上席常務は記者団にこう語った。
報告書は内部管理体制の改善策とその進み具合をまとめたもの。経営トップが「チャレンジ」として達成困難な損益改善を各部署に求めていた点について、業績評価に中長期的な視点を取り入れ、「当期利益至上主義」をなくした、とする。新たな窓口を設けるなど内部通報制度も強化。通報は2015年度に263件と、不正会計問題の発覚前の14年度の88件から約3倍に増えたという。
東芝にとって「特設注意市場銘柄」指定の解除で「普通の会社」に戻ることは、経営再建に不可欠だ。指定されたままでは投資家からの信頼を得られず、増資や社債発行など、市場からの資金調達が難しいからだ。巨額の投資が必要な半導体事業を抱え、四日市工場(三重県)に今後3年間で8600億円の投資も決定。金融機関からの借り入れだけでは不安定だ。7%と低い株主資本比率で「3年後に10%以上を目指す」(綱川智社長)にも、市場からの調達が欠かせない。
ただ、東芝は今年に入っても、16年3月期決算を3度訂正するなど「失策」が続く。社内アンケートで「この会社ではたいていの場合、率直に発言できる」との質問に「イエス」と答えた割合は、今年3月の45%に対して5月は58%、7月は60%と増加傾向だが、問題発覚前の63%(14年8~9月)を下回る。幹部の一人は「企業風土の問題は根深く、変えるには長い時間がかかる。まだ道半ばだ」と話す。
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