ロボットに「相づち」を打たせる端末の試作品と、ヤマハの松原弘明さん=浜松市中区
ロボットに心地よい「相づち」を打たせる技術を、楽器大手ヤマハ(浜松市)が開発した。話しかけた人間の声の大きさや速さ、間(ま)の取り方などを解析し、答える調子を変える。話し手の気持ちがわかったような返事が期待でき、玩具やカーナビなどへの応用が見込めるという。
新技術「ハートーク」はロボットと話した時に人が感じる不自然さを解消するねらいで開発した。呼びかけが断定調か、質問調かなどにより、話しかけた人が気持ちよく感じる抑揚やタイミングで「うん」「はい」などと返す。
得意の音声分析技術を応用した。人の声をマイクが拾うと、コンピューターが強弱、長短、高低、間、抑揚の5要素からなる「韻律」を即座に解析し、返答する。言葉の内容は認識できないが、開発を主導した新規事業開発部の松原弘明さんは「ありそうでなかった技術。ロボットと会話が成り立っているように感じられる面白さには需要があるはず」という。
ヤマハは一連の技術で特許も取った。音声認識・合成に詳しい企業とも共同研究を進めており、年内にも対話システムとして商品化したいという。玩具やカーナビ、スマートフォン、駅の券売機類への応用が考えられ、2020年には10億円規模の売り上げをめざしている。(山本知弘)