死んで口を開けたカキ=厚岸町
相次いだ台風の影響で北海道厚岸町では、「カキえもん」などのブランドで知られる養殖カキが大量に死んでいる可能性が強まっている。調査はこれからだが、今冬の生産量の減少を懸念する声もある。
主要養殖場の厚岸湖には、上流から別寒辺牛川などが注ぐが、8~9月に連続した台風で濁流が絶え間なく注ぎ込み、汽水湖の塩分濃度が極端に低下。カキは短期間なら殻を閉じて身を守るが、それでも塩分濃度が回復せず、真水化した湖水を吸って死んだようだ。「産卵を終えて弱っていたことも影響したのでは」との見方もある。
厚岸では116戸の生産者がブランドの「カキえもん」など養殖方法が異なる3種類のカキを育てている。生産者の1人は「うちでは3割死んだ。周りはもっとひどく、被害は東日本大震災の津波以上と思う。こんなの初めてだ」。出荷の主力の2~3年ガキも被害に遭っており、「(不足分の)一部を県外産に頼らざるを得なくなるかも知れない」と話す人もいる。
大量死については台風以外の原因も含め、厚岸漁協が被害状況を聞き取り、被害額などをまとめる。秋恒例の「牡蠣(かき)まつり」(10月1~10日)は予定通りという。(奈良山雅俊)