冠水した道路を行く消防団の車両=20日午前6時37分、宮崎県日向市、福岡亜純撮影
列島各地は20日、台風16号に警戒する連休明けとなった。九州では広範囲で浸水し、損壊した住宅も。近畿でも学校や幼稚園が休みになったり、交通機関に影響が生じたりした。
「家のまわりは水田も道路も沈み、まるで川になっている。水の深さは1メートル以上あると思う」。宮崎県延岡市の渡部茂子さん(50)は雨の激しさについて話した。自宅近くにある高さ1・5メートルのゴミ捨て場もほぼ水没しているという。
市内全域に避難勧告が一時出された宮崎県都城市の総合社会福祉センターに避難した前原弘子さん(56)は「川沿いにある自宅のことが心配」。様子を見に行った家族からは「道路が冠水して近づけない」と電話で連絡があったという。
高知県内では、宿毛市など5市町の4308世帯9130人に避難指示、7市町村の4万3053世帯8万9368人に避難勧告が出された。愛媛県の宇和島市では計2万3654世帯5万2298人に避難勧告が出され、5市で19日夜以降、計約2900世帯が一時停電した。香川県内では綾川町の3世帯9人に避難勧告が出された。
和歌山県の一部市町では近くの公民館などに自主避難する人も。京都府福知山市は市内全域の3万5911世帯、7万9590人に避難準備情報を出し、市内50カ所に避難所を設けた。大阪府内でも南部を中心に避難準備情報が出され、大阪市では全ての市立小中高校と市立幼稚園、市立・公設民営保育所を臨時休校・休園とした。関西電力によると、神戸市北区の計約260軒で午前9時20分ごろから停電が発生した。
朝から欠航が相次いだ関西空港。影響は国内線にも出始め、東京に出張する会社員の男性(48)=神戸市=は欠航が決まった羽田行きの便を大阪(伊丹)発に変更した。「これから伊丹へ車で向かいます。約束の時間には何とか間に合いそうです」
日本航空は羽田、伊丹などを発着し、中四国、南紀白浜を結ぶ計38便を欠航。全日空は伊丹を発着し、松山や高知、宮崎などを結ぶ計12便の欠航を決めた。
鉄道では、JR西日本が特急「くろしお」のほかに「こうのとり」や「きのさき」の上下線計5本の運転を取りやめ、JR四国は瀬戸大橋線の快速マリンライナーの運転を見合わせた。海の便では「フェリーさんふらわあ」が20日の大阪、神戸と九州の別府、大分、志布志各地をつなぐ計4便を欠航。和歌山と徳島を結ぶ南海フェリーも同日の運航取りやめが決まった。