米ニューヨークを訪問中の安倍晋三首相は19日(日本時間20日)、難民・移民に関する国連サミットに出席し、今後3年間で28億ドル(約2800億円)規模の人道支援などを行うと表明した。サミットでは、難民らの受け入れや支援拡充策で、各国が責任や負担をより公平に分担するとした「ニューヨーク宣言」を全加盟国の同意で採択した。
サミットはシリアや北アフリカの難民・移民問題の深刻化を受けて国連が初めて開催し、約150カ国が参加した。安倍首相はスピーチで「『人間の安全保障』の提唱国として難民問題に積極的に貢献してきた」と強調。難民の自立や受け入れ国の経済発展を支える「開発支援」を並行して進めるために、今後3年間で難民・移民への人道支援や受け入れ国の支援を28億ドル規模で行う考えを明らかにした。
ニューヨーク宣言は「人道的な対応と人権の尊重」をうたい、受け入れや支援について「責任の公平な分担」を明記した。全ての難民や移民の人権保護▽難民や移民の子どもへの到着から数カ月以内の教育提供▽多くの難民や移民を受け入れるホスト国への支援▽難民や移民の差別への強い非難――などを掲げている。2018年には具体的な対応策を盛り込んだ合意文書の採択をめざす。
国連は「歴史的なサミット」と位置づけているが、宣言には具体的な数値や政策が少なく、各国を法的に拘束する力もない。「役に立たない取り決め」(アムネスティ・インターナショナル)といった批判も出ている。(ニューヨーク=小林豪、金成隆一)