1986年にインドネシアの日本大使館に爆発物が撃ち込まれた「ジャカルタ事件」に関わったとして、殺人未遂などの罪に問われた元赤軍派、城崎(しろさき)勉被告(68)の裁判員裁判が21日、東京地裁で始まった。城崎被告は「まったくのでっち上げです。無罪です」と起訴内容を否認した。弁護側は「事件当日はレバノンにいた」と主張した。
城崎被告は、同年5月14日、爆発物2個をジャカルタのホテルから日本大使館に向けて発射したとして、昨年に起訴された。事件前にホテルとレンタカー店で偽のパスポートを提示したとする偽造有印公文書行使の罪にも問われている。
検察側は冒頭陳述で、事件翌日にホテルの客室内で採取された指紋が城崎被告の指紋と一致したと主張。インドネシア警察の当時の捜査官や、「実行犯の顔が被告に似ている」と証言したホテルの従業員らを法廷に呼んで尋問し、城崎被告が事件に関わったことを立証すると説明した。
城崎被告は、日本赤軍の前身となる「共産主義者同盟赤軍派」に参加。強盗罪などで服役中だった77年、日航機を乗っ取った日本赤軍メンバーが城崎被告らの釈放を求めた「ダッカ事件」があり、政府の「超法規的措置」で釈放された。その後、インドネシアの米国大使館に爆発物を撃ち込んだ疑いで96年にネパールで再び身柄を拘束され、98年に米国で禁錮30年を言い渡された。2015年の釈放後、日本に強制送還され、警視庁に逮捕された。
裁判員裁判は11月1日の結審まで、21回の期日が指定されている。