3年間死亡事故ゼロが続いていた中学・高校の柔道の部活動で、昨年から今年にかけて3人の生徒が死亡する事故が発生した。同時期、3人の生徒が意識不明になる重大事故も起こった。事態を重く見た全日本柔道連盟は事故防止対策の徹底を呼びかけている。
全柔連への事故報告で明らかになった。昨年5月に大外刈りを受けた福岡市の中1女子が急性硬膜下血腫で死亡。同8月に横浜市の高1男子が柔道部の坂道ダッシュの練習中に倒れて熱中症で亡くなり、今年4月には仙台市の高3男子が袖釣り込み腰をかけた相手と倒れ込んで頸椎(けいつい)などを損傷して死亡した。
中学で武道が必修化された2012年度から3年間は死亡事故はゼロだった。部活動で再び死亡事故が発生した要因として、必修化を機に指導現場でもたれた緊張感が薄れてきたのではとの指摘がある。必修化された柔道の授業では重大事故は報告されていない。
名古屋大学大学院の内田良准教授(教育社会学)の調査によると、11年度までの29年間に部活動や授業など学校の柔道で118人(中学40人、高校78人)が死亡した。大多数が部活動中の事故だった。
事故には、いくつかの傾向がある。まず被害者は1年生が多い。内田准教授の調査によると、1年生が中学で53%、高校では65%。入部間もない初心者や、進学して練習レベルに慣れない段階の事故とされる。それと呼応して、全柔連が03~14年に障害補償・見舞金を給付した重大事故57件を発生月別にみると、4~9月が84%を占めている。
受傷部位は頭部が多く、かけられた技は大外刈りが多い。全柔連が03~14年に報告を受けた頭部外傷の重大事故で技が判明している29件のうち、大外刈りが15件で最も多かった。ほかに背負い投げ、大内刈りが3件ずつ、払い腰、体落としが2件ずつで続いた。
また、頭部外傷の事故の中には…