矢場とんの鈴木拓将社長=川津陽一撮影
■矢場とん社長 鈴木拓将さん
この10年で店を4倍に増やし、売上高も倍増。名古屋名物の「みそカツ」が、全国に広がりつつある。
――ことし6月、国内21カ所目の店を大阪に出しました。
「関西からわざわざ名古屋の店まで食べに来てくれるお客さんがかなりいた。大阪への進出は数年来の悲願だった」
「ただ新しい店は、出すよりも維持する方が難しい。東京の3店は年間で合計約30万人に来てもらっているが、ここまで10年以上かかった。都内で最初の店を銀座に出したのは2004年。商店街の青年会に入れてもらい汗を流すことで、地域の信頼を徐々に得ていった。大阪でも地元に深く関わっていきたい」
――味は現地風にアレンジしないのですか?
「しません。東京に出店して気づいたが、名古屋の味そのままを食べたい、という声が圧倒的に多い。変えてほしい、と言われたことはない。みそカツは、屋台の串カツを土手煮のみそダレに付けたのが原点で、名古屋の大衆文化だ。きちんと作れば、どこで出しても通用すると思っている」
■大衆食堂、我慢重ねて出店
――「一流の大衆食堂」を企業理念に掲げています。
「われわれのような大衆食堂で…