第22回(2012年度)グランプリの設計で作られた大阪府営松原一津屋住宅の集会所=松原市一津屋3丁目、府提供
お巡りさんの顔のような交番に、葉っぱのような公園の休憩所……。大阪府内には、高校生や専門学校生の設計に沿って造られたちょっと凝った公共施設が20棟ほどある。次世代の建築家を育てるコンクールのグランプリ作品などを府が実際に建てたものだ。夢だった建築士になった受賞者もいる。
コンクールは「あすなろ夢建築」。若者ならではのアイデアを取り込むのと同時に技術者になる夢を育もうと、府と府建築士会などが1991年度に一石二鳥を狙って始めた。
参加資格は府内で建築を学ぶ高校生、高専生、専門学校生、短大生。テーマは毎年、交番や公衆トイレなど府が建てる小規模な建物から選ぶ。生徒らが描いた設計図やイメージ画像を建築士らが審査。府は、原則としてグランプリ作品の設計に沿って建築する。府公共建築室は「若者の自由な発想は、維持管理の経費から考える役所の設計と全く違う」。
当初は、表彰式で隈研吾氏ら著名建築家に記念講演をしてもらうなど華やかなイベントだった。だが橋下徹前知事が「事業そのものはいいが、お金をかけない方法で」と見直しを指示し、40万円だった府のコンクールの予算は08年度にゼロに。府建築士会など共催団体が資金を出して持ちこたえたが、現在も府の予算は5万9千円。共催団体が費用の大半を出している。
表彰式は、建築家の記念講演の…