出土した4世紀中ごろのローマ帝国コイン=沖縄県うるま市
ローマ帝国のコインが沖縄県の勝連(かつれん)城跡で出土したと、同県うるま市教育委員会が26日、発表した。国内の遺跡からは初の出土で、14~15世紀の海上交易を介して流入した可能性があるという。
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出土したコインは10枚。うち4枚に皇帝らしい顔やローマの文字が刻印されており、4世紀のローマコインとみられる。直径1・6~2センチでいずれも銅製。中国陶磁器を含む地層(14~15世紀)などから見つかった。1点はアラビア文字があり、17世紀製造のオスマントルコ帝国のコインとみられる。残る5点は分析中。
勝連城は世界遺産にも登録されており、12~13世紀ごろの築造。この地域で活躍した阿麻和利(あまわり)の居城とされ、15世紀の廃絶後もしばらく利用されたとされる。同市教委では整備事業の一環として発掘調査を進めていた。
沖縄では14世紀から16世紀にかけて海上中継貿易が栄えた。琉球王国は中国や東南アジアとも交流し、勝連城でも中国陶磁器が見つかっている。同教委は「西アジアや西洋を含めた世界史研究に寄与する成果。勝連城にかかわる人物が、西洋世界との接点をもつアジア世界のどこかで入手したのではないか」。オスマン帝国のコインについては後世この地へもたらされたのではないかとみている。
東西交流史に詳しい早稲田大中央ユーラシア歴史文化研究所の四日市康博さんは「ローマのコインは東南アジアでも出ており、ここを経由して流入したと考えられるが、後世の混入の可能性も含めて慎重に精査してほしい」と話している。(編集委員・中村俊介)