台湾の先住民がいかだの材料として使っていた竹(台湾の台東県、3万年前の航海徹底再現プロジェクト提供)
国立科学博物館などは2日、3万年以上前に人類が台湾から沖縄に渡った航海の再現実験を2019年に実施する、と発表した。台湾の東海岸から沖縄・与那国島に手こぎの竹いかだで渡ることを目指すという。
特集:3万年前の航海再現プロジェクト
沖縄で見つかっている旧石器時代の人骨には、今の東南アジアに特徴的な遺伝型があり、大陸と地続きだった台湾から海を渡ってきたとみられている。台湾と与那国島の間は黒潮が流れ、現在、最短距離で110キロ。当時も大きな差はないとみられるが、どのように渡ってきたのかわかっていない。
国立科学博物館の海部陽介研究グループ長らは昨年から再現実験を始め、7月には草舟で与那国島から70キロ東の西表島を目指した。この航海は海水に流され途中で断念したが、さらに研究を進めることにした。
次の実験では、台湾の先住民アミ族がかつて、漁のために作っていた竹のいかだを再現する。自生する竹を籐(とう)で縛るという。今年6月には、台湾沖で、流れの速い黒潮の中でどのくらい速くこげるかなどを試す予定だ。海部さんは「3万年前を考えると、目指す島が見えることが重要。沖縄の島が見える場所を探しており、情報も募集する」と話す。(神田明美)