鳥取砂丘を走る月面探査機の試作機(全長60センチ)。試験のため、岩に見立てた障害物も置かれた=鳥取市浜坂
米グーグルがスポンサーの月面探査レースに日本から唯一参加している民間の宇宙開発チーム「HAKUTO(ハクト)」が27日、鳥取砂丘(鳥取市)で月面探査機の試作機2機を使った実地試験を始めた。3日間カメラ撮影や無線通信のテストをする。
レースは月面で探査機を500メートル以上走らせ、高解像度の映像を地球に送信することを競う。民間資金で挑戦することが条件で世界各国の16チームが参加。最初に達成したチームに賞金2千万ドルが贈られる。
ハクトは2010年9月設立で、ベンチャー企業「ispace」(東京)が運営。ハクトによると、鳥取砂丘は人工物がカメラに映り込まず、適度な起伏があり、砂の粒子が細かいことから、国内の砂丘で最も月面に近いと試験場所に選んだ。チーム名も月にウサギがいるという伝承と、鳥取が舞台の神話「因幡の白うさぎ」(白兎(はくと)伝説)にちなむ。27日は試作機に付けたカメラや、赤外線で対象物との距離を測るセンサーの試験などをした。
探査機の実機は17年初めに完成予定で、米国の民間企業が来年打ち上げる予定のロケットに搭載して月面に送り込む。ハクトの袴田武史代表(37)は「今のところ試験は順調。実機を月へ送り込めたら優勝できると思っている」と話した。(柳川迅)