近畿大のグループは27日、胎児性水俣病の症状が大人よりも重くなる原因の一端を解明したと発表した。メチル水銀が脳のすき間(脳室)を満たす液体の流れを悪くし、脳を形作るのに必要な神経細胞の移動を妨げている可能性があるという。成果は神経毒性学の国際学術誌に掲載された。
胎児性水俣病は、母親が食べた魚に含まれるメチル水銀が胎児の体内に入って生じる。成人より症状が重く、脳がうまく形成できていないことがわかっていたが、詳しい仕組みは不明だった。
吉田繁・元近大教授(神経生理学)らは、薄く切ったマウスの脳を、細胞が生きた状態で観察できる装置を開発。人で中毒が起きる濃度のメチル水銀を加えると、脳室の表面の細胞に生えている毛の動きが弱まり、メチル水銀を取り除いても元に戻らなかった。
脳室を満たす液体は、この毛の…