地震で田んぼに出来た亀裂と壊れた農業用水のU字溝。まっすぐ走る亀裂の右側は田んぼが1メートル以上陥没して水がたまっていた=7月22日、阿蘇市狩尾、尾立史仁撮影
熊本地震で被災した農地の復興に、崩落した阿蘇大橋近くの山の土砂を使う方向で熊本県が国土交通省と調整を進めている。県が掲げる「創造的復興」と経費削減を同時に実現できるとしており、国交省側も前向きに対応する意向だ。
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4月16日の地震では、同県南阿蘇村の阿蘇大橋近くの山が大規模に崩れ、国道57号が寸断された。現在、国道の復旧に向けて土砂の除去作業が進む。
一方、阿蘇市の水田には多数の亀裂が入るなどし、計184ヘクタールで耕作不能となった。市西部の被害の大きな一帯は、阿蘇山側の高い場所から低い場所に向かって1枚の平均の広さ3反(30アール)ほどの田がゆるやかな階段状に並ぶ。
県は復旧事業で水田の亀裂を埋めると同時に、隣り合う田の低い方に土を加えて田の高さをそろえ、1枚の広さを広げる基盤整備も進める計画。1枚の水田が広ければより大型の機械に対応できるなど農作業の効率化がはかれる。事業には多くの土が必要で、注目したのが、国道57号復旧工事の土砂だった。
国交省熊本河川国道事務所によ…