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娘の言葉をメモるんです 吉田戦車さん、子育てをネタに

作者:佚名  来源:asahi.com   更新:2016-9-30 19:47:17  点击:  切换到繁體中文

 

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吉田戦車さん=安冨良弘撮影


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「伝染(うつ)るんです。」で知られる漫画家の吉田戦車さんは不条理ギャグから一転、子育て漫画を描いている。子どもとの日常をおもしろく切り取るコツを、フリーカメラマンの望月やすこさんが聞いた。(構成・山本晋、撮影・安冨良弘)


ママの写真投稿、涙も誘った1枚


「おバかわ写真」作品集


投稿募集:思わず笑った子どもの言動は?


1989年に連載を始めた「伝染るんです。」が大ヒットした吉田さん。2010年から漫画誌ビッグコミックオリジナルで「まんが親」を連載しており、妻で漫画家の伊藤理佐さんとの間に生まれた娘(6)との日常を独特のタッチで描いている。


《吉田》 娘が生まれたときには描くと決めていました。フィクションまじりのエッセー漫画です。僕の親も妻の親も遠くに住んでいて頼れない。妻と話し合い、娘が生まれたら、僕は仕事を減らして「しばらく家事やります」って。料理や掃除、洗濯などを1、2カ月やりました。


「えらいね」と言われたいスケベ心もあったんじゃないですかね。でも、同業の妻には「自分をイクメンのように描いちゃダメ。らしくない」と言われました。


■「写真にしたら笑えた」


《望月》 私は朝日新聞の「エムスタ」のページで「おバかわいいね写真館」の講評を担当しています。このコーナーでは「子育ての大変な瞬間を写真に収めてみんなで笑おう」をコンセプトに、読者の写真投稿を募っています。


次男が3歳ごろから、毎朝といっていいほど保育園を嫌がって泣いていたんです。仕事に遅れそうなのに1時間くらい続くので、すごくつらかった。ある日、あまりに泣くのでその顔をみんなに見せてやれと思い、スマートフォンで撮影してフェイスブックに投稿したんです。すると「面白い」「懐かしい」と反響があった。


話すと愚痴になることも、写真にしたらみんなで笑えた。撮影する過程で自分も冷静になると気付いた。それが「おバかわ写真」を始めたきっかけでした。


《吉田》 僕も写真を撮りますが漫画の資料というよりプライベートで見るもの。パソコンに「週刊娘」というフォルダーを作って、撮った写真から週に1枚ほど選んで入れています。0歳のときからやっていて、息抜きで妻と見て笑っています。


仕事用にはメモをすることが多いです。日常の中で面白いことを探すのは大変ですし、子どもが成長するにつれて、しなくなることもある。ちゃんと単語が言えなかったとか、大人になったらこんな泣き方はしないなとか、常にメモ帳を手元に置いて、気づいたことを書いています。


メモしなかったらすべて忘れるのかなと思うと、ちょっと怖くなる。僕の場合、家族を客観視して漫画を描くために記録していますが、ちょこちょこ何かに残しておくのは大切かもしれません。


《望月》 確かに言葉は写真では残せません。


■「ホッキョクグマを『ほきごむな』」


《吉田》 4歳までは本当に面白かった。ホッキョクグマを「ほきごむな」と言って。小学生になった今はないですね。赤ちゃんだったころが懐かしい。


《望月》 私は2人とも1歳になるまでが一番大変でした。吉田さんはもう一度戻ってその時代を味わいたいですか。


《吉田》 それはありますよ。ストレスもありましたが、比較的、楽しくうまくやったのかなと思っています。


《望月》 お母さんたちは目の前のことに必死で「今これを乗り越えないと次に進めない」という状況が多い。そんな瞬間を私は写真で切り取っています。でも吉田さんは一歩引いて、やんわり待っているようなところがある。


《吉田》 商売柄、素直に見ないというか、変なところだけを探そうとしているところはあり、それが距離を置いた感じになるのかもしれません。自分の後ろにカメラを置いている感じです。


《望月》 作品では、娘さんはあまり泣いてないですね。


《吉田》 笑ってもいない、割とクールな顔ばかり。僕の好みでそう描いてますが、本当は笑顔がたくさんあります。


連載は、ずっとは続けられないですね。「将来娘が読んで実際の記憶と混じってわけがわからなくなるのでは」とか、「同級生が読んで娘が何か言われたら」とか、そんなことを心配しています。


《望月》 女の子のお父さんらしいですね。



吉田戦車 1963年生まれ。岩手県出身。89年に連載を開始した「伝染(うつ)るんです。」で文芸春秋漫画賞受賞。10年に「まんが親」連載開始。その他の代表作に「ぷりぷり県」「殴るぞ」など。「まんが親」最新単行本第4集、「おかゆネコ」最新単行本第6集が発売中。



望月やすこ 1972年生まれ。静岡県在住のフリーカメラマン、息子は9歳と5歳。ママ向け写真講座の講師を務める一方、地元のテレビ番組への出演も。著書に、静岡県内の無料の遊び場を集めたガイドブック「子連れのタダビバ」シリーズ(静岡新聞社)。


■記者のひとこと


「自分ですら客観視しなければならない。自分の後ろにカメラを置いている感じです」。娘を記録する際の感覚について吉田戦車さんはこう答えた。「お母さんは今これを乗り越えないと次に進めない。瞬間的に切り取ったアップの写真になる」という望月やすこさんとは対照的だ。


吉田さんは「漫画に『吉田戦車らしさ』を出す」ために、あるあるネタは排除して「変なところだけを探そうとしている」という。こんなプロの姿勢を貫く吉田さんほどでなくても、大泣きする子どもを一歩引いて見てしまう男性諸氏も多いのではないだろうか。


妊娠中から母親として子どもと密接に関わる女性と、子どもの成長とともに徐々に父親としての自覚が生まれてくる男性――。お二人の子どもに対する距離感の差は、カメラマンと漫画家という職業の違いだけではなく、男女の違いも大きく影響しているように感じた。とはいえ、吉田さんは子どもが生まれてしばらくの間、仕事を減らして家事をしていたという。同じ男親として見習うべきことは多いと思った。(山本晋)




 

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