今年もノーベル賞の発表が3日から始まる。昨年は医学生理学賞に大村智さん、物理学賞に梶田隆章さんのダブル受賞で沸いたが、文部科学省の科学技術・学術政策研究所の調査では、日本人の受賞決定の報道で、子どもたちの研究者の仕事に対する興味は高まった一方、子どもを理系に進学させたいと思う親たちは減ったという。
調査は、大村さんと梶田さんのノーベル賞受賞が決まった後の昨年10月30日~11月11日にネットを通じて実施した。研究者の仕事や理系への意識が受賞決定前後でどう変化したかについて、小・中・高校生3335人と、その保護者2380人から回答を得た。
研究者の仕事に対し、「非常に関心を持っている」「どちらかというと関心を持っている」が、受賞決定前は中学生で計15・7%だったが、決定後は計24・8%に増えた。小学生や高校生も増加していた。
また、親に理系に進学させたいかを尋ねると、「ぜひとも」「どちらかというと」が、高校生の保護者で決定前は計38・2%だったのが、決定後は35・6%に減った。小中学生の保護者も低下した。
同研究所の岡本摩耶上席研究官は「業績とともに、研究者が苦労を重ねた話も報道されることで、子どもに『苦労をさせたくない』と理系へ進学させるのをためらう気持ちが働いたことが一因ではないか」と話している。(黒沢大陸)