患者の遺伝情報から病気の原因を推定し、一人一人にあった治療法を探る人工知能(AI)の開発に、京都大と富士通などの研究チームが乗り出す。AIの医療応用では米IBMの「ワトソン」が知られる。研究チームが開発を目指すのは、いわば日本版の医療用ワトソンだ。2020年度までに実用化を目指すという。
開発するAIは、世界の医学論文やゲノム情報のデータベースなどを学習する。それに加え、病気との関連がまだはっきりしていない遺伝子変異が、病気とどう関係しているか推定することを目指す。そのために、複数の遺伝子の関係性をシミュレーションするなど、多数のデータを統合して判断し、遺伝情報と病気との関連を探る。
研究は、病気と関連する遺伝情報を大規模に集積するデータベースを作る日本医療研究開発機構(AMED)の事業の一環として行われる。研究チームの京都大の奥野恭史教授は「患者の遺伝子変異のデータを入力すると病気の原因や治療法の情報が示され、医師の診療を支援するシステムをめざす」と話している。(瀬川茂子)