研究成果を元に彩色がデジタル復元された=凸版印刷提供
奈良・興福寺で国宝の五重塔と三重塔の初層(1階部分)を公開する「国宝特別公開2016」(興福寺、朝日新聞社、テレビ朝日主催)で、三重塔(1143年)の内部を再現したバーチャルリアリティー(VR)映像が10日まで公開されている。博物館の倉庫に眠っていた復元模写が見つかったことで、800年前の平安時代に描かれながらほとんど消えかかっていた、千体仏などを再現することができた。
興福寺特集
高さ19・1メートルの小ぶりな三重塔は、初層内部に鮮やかな彩色が施されていた。中央に4面ある縦板に計1千体の仏が描かれ、それを囲む柱や天井には宝相華(ほうそうげ、空想上の花)や幾何学文様。しかし、現在は経年劣化で木肌があらわになり、その姿を知ることは難しい。
興福寺は、今回の「国宝特別公開」を前に、凸版印刷(東京)にVRで往時を再現できないかと打診。同社が奈良・唐招提寺金堂や興福寺・阿修羅像などで往古の美をデジタル復元した技術で取り組んだ。
初層の内側を東西南北4方向と…