証券大手・大和証券の営業担当だった元社員に、うその投資話で現金約5千万円をだましとられたとして、顧客の男性が元社員を詐欺容疑で警視庁に刑事告訴していたことがわかった。元社員は告訴内容を否定しているが、大和証券は詐欺行為があったと判断し元社員を懲戒解雇した。
告訴したのは東京都大田区の無職の男性(66)。告訴状によると、男性は当時大和証券蒲田支店の課長代理だった男性社員(30)に「大和証券の系列に有望な投資先がある」と虚偽の投資話を持ちかけられ、2013年12月~14年7月、6回にわたり計約5千万円を詐取されたとしている。
男性は刑事告訴のほか、損害賠償や慰謝料を求めて元社員を提訴した。この訴訟で裁判所に提出された大和証券側の陳述書によると、元社員は内部調査に「男性から現金を受け取っていない」と説明したが、同社が保管している被害男性と元社員の電話のやりとりの記録に不審な点があり、携帯電話や銀行口座の記録の提出を拒んだことなどから詐欺行為があったと判断。金融庁に報告したうえで、15年2月、元社員を懲戒解雇したという。
元社員は朝日新聞の取材に「現金は受け取っていない。それ以上はコメントできない」と話している。