阿蘇中岳の爆発的噴火で大豆畑に灰が降っていた=8日午前9時36分、熊本県阿蘇市、福岡亜純撮影
阿蘇山の今回の噴火は噴煙が高く上がったのが特徴だ。昨年9月の噴火では、火口から約2千メートルの高さだった。
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火山噴火予知連絡会長の藤井敏嗣・東京大名誉教授は「温度が高く、周りの空気を暖めたために噴煙が軽くなり、高く上がったのではないか」と話す。
阿蘇山では今年7月ごろからマグマだまりの膨張を示すような地殻変動が観測され、10月に入って火口直下で地震が増えていた。火山ガスの放出が多い状態も続いていた。「時期はわからないものの、噴火が近づいている状態だった」。4月の熊本地震との関係は分からないという。
清水洋・九州大地震火山観測研究センター長は「火口に湯だまりができて塞がれていたため、爆発力が大きくなった可能性がある。地殻変動や火山灰のデータを分析してマグマがどのくらい本格的に関与したのかを調べ、慎重に警戒していく必要がある」。
須藤靖明・阿蘇火山博物館学術顧問(火山物理学)は「この程度の噴火は阿蘇山の歴史では過去にたくさんある。少なくとも1カ月くらいは警戒が必要だ」と話している。
宇井忠英・北海道大学名誉教授(元日本火山学会会長)も「この規模の噴火は阿蘇山ではたびたび起こっている。噴煙が1万1千メートルまで上がったことで、東は兵庫県まで降灰の予想が出ているが、関西に来るとしてもごく微量なもので、交通や生活に影響が出るものではない」と話している。