九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の事故を想定した佐賀、福岡、長崎3県の合同防災訓練が10日あった。4月の熊本地震を教訓に、初めて地震との複合災害を想定して取り組んだ。屋内退避や県境をまたぐ広域避難などの訓練があり、3県で住民や自治体関係者ら計約5800人が参加した。
東京電力福島第一原発事故を受けて始まった合同訓練は今回で4回目。佐賀県内で震度6弱の地震が発生、玄海3号機で全電源が失われて炉心が冷やせなくなる「全面緊急事態」になったとの想定だ。熊本地震で住宅の倒壊が相次いだことから、佐賀県の玄海町、唐津市、伊万里市の計3地区では、地震で自宅が損壊した住民が避難所で屋内退避する訓練をした。
島の一部が30キロ圏に含まれる長崎県の壱岐島では、住民が航空自衛隊のヘリや民間のジェットフォイルで福岡県内に向かった。ただ、海上自衛隊の船で住民が福岡市の博多港に向かう訓練は高波のため取りやめた。この訓練は昨年も高波のため中止されている。
玄海3、4号機は再稼働に向けた原子力規制委員会の審査が大詰めを迎えている。再稼働前の合同訓練は今回が最後となる可能性が高い。