九州電力玄海原発4号機(左手前)。奥は3号機=2018年6月16日午前11時9分、佐賀県玄海町、朝日新聞社ヘリから、日吉健吾撮影
九州電力の玄海原発4号機(佐賀県玄海町、出力118万キロワット)が16日午前、再稼働した。2011年12月に定期検査のため停止してから、稼働するのは約6年半ぶり。東日本大震災後につくられた新規制基準のもとで九電が再稼働をめざした原発4基が、すべて稼働したことになる。
九電は16日午前11時、玄海4号機の原子炉内で核分裂の反応を抑える制御棒を引き抜き、原子炉を動かした。20日にも発電を始める見込み。7月中旬に原子力規制委員会の最終的な検査を終え、通常の営業運転に復帰する計画だ。
九電は当初、玄海4号機を今年3月にも再稼働させる計画だった。だが昨年起きた神戸製鋼所グループの検査データ改ざん問題などを受け、部材の調査のために延期。5月にも冷却水のポンプの不具合で部品を交換するなどし、さらにずれこんでいた。
新規制基準のもとで稼働した原発は国内で5原発9基目。九電は15年に川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)、今年3月には玄海3号機も稼働させている。玄海4号機の稼働により、廃炉が決まった原発などをのぞいて九電がめざしてきた「原発4基態勢」が実現するめどがたった。
九電は原発4基のフル稼働で火力発電の燃料費が減り、経営の追い風になると見込んでいる。一方で電気料金の値下げには現時点では消極的だ。もともと今の電気料金を、原発4基が稼働する前提で設定しているためだという。(山下裕志)