シカの毛皮を使った椅子作りのワークショップを開いた井戸直樹さん=浜松市天竜区
有害駆除されたシカやイノシシの皮や骨を芸術作品や革製品などに生かしている脱サラ猟師がいる。静岡県の富士山麓(さんろく)で、「害獣」の利活用を通じて、人と自然のより良い関係を考えてもらおうと活動している。
この猟師は静岡県富士宮市の井戸直樹さん(40)。9月には、シカ皮を使ったワークショップを浜松市天竜区の山あいで開いた。会場には、井戸さんが銃やわなで捕った動物の毛皮が積み重ねられた。害獣は利活用の場がないとされ、大半が埋められている。あまり使われていない毛皮が、参加者の手で三脚椅子や楽器などに生まれ変わった。
ワークショップには名古屋市名東区の鍼灸(しんきゅう)マッサージ師、長谷川啓さん(40)も太鼓アーティストとして参加。通常はヤギ皮を使うジャンベやタンバリンをシカ皮で作った。長谷川さんは「人間の都合で殺して、埋めるだけの社会って、いびつじゃないですか」と話す。静岡県掛川市の彫刻家、木下琢朗さん(39)はシカの骨の粉末とにかわを混ぜた白色の塗料を作品に使っている。
井戸さんらが捕る年間計50頭…