右の列が三井住友銀行、左の列がSMBC日興証券の社員たち。情報を共有して営業に生かす=横浜市西区、池永牧子撮影
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三井住友銀行が大規模な組織再編を行い、それまで分離されていた法人と個人部門を一体化した「エリア」という新組織をつくりました。国部毅頭取が訴える「お客様起点」の営業現場の再構築は、なぜ必要だったのでしょうか。背景には、巨大銀行が抱えていた問題があったようです。
特集:カイシャの進化
横浜駅近くの高層ビルの一室。三井住友フィナンシャルグループの三井住友銀行の行員が、同じグループのSMBC日興証券の社員に話しかけていた。「得意先の企業幹部が、資産運用について、ライバル証券会社からSMBC日興に乗り換えてもいいと言っています。紹介に必要な同意書ももらっています」。SMBC日興の社員は「紹介をよろしくお願いします」と応じた。
ビルの7階にある「横浜エリア」という三井住友銀のオフィス。SMBC日興証券横浜支店のオフィスは同じビルの24階だ。同じグループの企業が垣根を越えて互いのオフィスを行き来して情報交換を行い、営業戦略も共有している。
SMBC日興の社員を紹介された顧客は後日、保有していた株式を売却し、そのお金でSMBC日興の金融商品を買った。銀行にはない、証券ならではの専門的な資産運用の提案が評価されたという。
顧客紹介を本格化させたのは2014年7月から。それまでも規制緩和による「銀証連携」は収益源と期待されてきた。ただ、連携を深めるには、評価制度を見直す必要があった。紹介されて成果を出した証券側社員だけでなく、紹介した銀行員も同様に評価される仕組みを導入したのだ。
銀行側が顧客を囲い込まずに紹…