政府は18日、商法のうち運送上のルールを定めた部分を約120年ぶりに見直す法改正案を閣議決定した。送った荷物が壊れた場合に損害賠償を請求できる期間や、飛行機事故での賠償額などについて、現代の実務に即して改める。また片仮名交じりの文語体が一部残っていた条文を、すべて口語体にして読みやすくする。
引っ越しや宅配便などで送った荷物が破損した際、送り主が運送業者に損害賠償を求められる期間は現在、「業者が破損を知らなければ1年」「知っていれば5年」となっているが、改正案では国際基準に合わせて「1年」で統一する。
また、小型飛行機を運航する業者などが、死亡事故が起きた場合の賠償額を「2300万円を上限」などと決めていたケースがあったが、旅客の輸送でこうした賠償の上限額を設けることは無効とする。
このほか、荷物にガソリンなどの危険物が含まれる場合は、送り主が運送業者に知らせることも義務づける。運送業者同士だけでなく、個人が宅配便で荷物を送る場合も対象になる。
商法は1899年に制定され、航空運送の規定がないなどの不備が指摘されてきた。これまでは運送業者の「約款」などで、トラブルが起きた場合の責任などについて当事者間で取り決めてきたが、裁判で業者間の争いになるケースがあった。今回の見直しでは、陸上、海上、航空のいずれにも適用されるような規定として、法律に明文化する。