放射性物質の濃度が測定できない可能性があると指摘された汚染土の仮置き場=福島県内、伊沢健司撮影
東京電力福島第一原発事故の除染作業で出た汚染土の仮置き場について、会計検査院が調べたところ、福島県内の31カ所で、土から出た水の放射性物質の濃度を測定できない恐れがあることがわかった。設計では、敷地の中央部が盛り上がり、水が脇のタンクに流れて測定できる仕組みだが、土の重みで中央部が沈下し、沈んだ部分に水がたまってしまう可能性があるという。
実際に地盤が沈下したり、中央部に水がたまったりしているかは確認できていないが、検査院は沈下の兆候があった場合の対応を検討するよう環境省に求めた。
仮置き場では、汚染土は袋に入れられ、積み上げて保管されている。袋に遮水性がなければ、土地に傾斜をつけ、外側にあるタンクに水を集めるよう環境省の内部基準で定められている。タンクに水がたまっていれば、定期的に放射性物質の濃度を測定する。
検査院は、2012~15年度に汚染土の搬入が完了した、環境省設置の仮置き場106カ所のうち、34カ所を調べた。遮水性のない袋が使われ、5段以上積み上げられた仮置き場を選んだ。
すると、地盤が軟らかいことなどが原因で、34カ所すべてで地盤が沈下する可能性があった。さらに、沈下によって中央部にへこみができ、測定ができなくなる恐れのある仮置き場が、5市町村で計31カ所あった。田村市に4カ所、川俣町に15カ所、楢葉町に3カ所、浪江町に5カ所、飯舘村に4カ所だった。31カ所の造成工事費は計41億6千万円。時間が経過するほどへこみが深くなる可能性は高くなるという。
環境省は11年の事故発生後、3年をめどに撤去される前提で仮置き場を設計した。このため、農地などの軟弱地盤でも沈下を防ぐ地盤改良などはしていない。将来は原則、農地などに戻して地権者に返す予定だ。
環境省は「仮に沈下しても水は…