倒壊した蔵の屋根にブルーシートをかけるボランティアの人たち=23日午後3時25分、鳥取県北栄町、渡義人撮影
最大震度6弱の地震の発生から3日目の23日、被害を受けた鳥取県中部では、「自分にできることを」と各地から集まったボランティアが作業に携わった。秋の行楽シーズン中とあって観光施設も復旧を急ぐ。
倉吉市の災害ボランティアセンターには23日朝から、県内だけでなく島根や広島など各地から約120人がボランティアに参加した。受け入れは24日からの予定だったが前倒しした。
地元で建築塗装会社を営む阪本阿羅志(あらし)さん(34)は従業員らと3人で参加。自宅も食器棚などが倒れたが、「自分より困っている人がいる」と会社を休業。ときおり雨が降るなか、瓦がはがれた家の屋根に上り、雨漏り防止のシートを張った。住人の女性は「自分ではできなかったので助かりました」。
湯梨浜町のボランティアセンターには46人が集まった。住民の依頼60件のうち50件が屋根へのシート張り。危険を伴うため、経験などがない人には頼むのをやめている。散乱した室内の片付けといった作業もあり、24日以降もボランティア自体は受け入れるが、山田志伸(しのぶ)事務局長(50)は「屋根に上れるような経験者に来てもらえたら助かります」と言う。
炊き出しや物資の支援も相次ぐ。京都府城陽市の元市長の橋本昭男さん(72)は、鳥取県三朝(みささ)町の吉田秀光町長と個人的な知り合い。トラックなどで避難所を訪れ、きつねうどん約200食分を振る舞った。倉吉市立成徳小学校の体育館では、市内のスポーツマッサージ店代表の片野坂(かたのさか)英さん(32)が避難者を無料でマッサージした。山下美子さん(75)は「2泊もしたから肩も腰も痛かったけど、楽になった」と笑顔を見せた。
ただ、避難所で3度目の夜を過ごす住民もいる。倉吉市の市立上灘小学校に避難する辻貴美子さん(74)もその一人。震度6弱の地震を思い出すと「怖くて家にいたくない」。4年前に夫を亡くし、一人暮らし。仏壇だけは片付けたが、ほかは手をつけられていないという。「私みたいな一人暮らしは、なかなか自宅に戻れない」と語った。
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