財務省と国税庁は、国税査察官(マルサ)にこれまで原則として認めていなかった夜間の強制調査を認める方針だ。1948年以来見直していなかった国税犯則取締法を改正し、電子メールのデータも押収できるようにするなど、査察官の権限を強化する。25日の政府税制調査会に財務省が見直しの方向性を示した。年末にまとめる2017年度の与党税制大綱に盛り込む。
国犯法(こっぱんほう)は、いまだにカタカナ交じりで書かれていて、査察官は「収税官吏」が正式な呼び名だ。第8条では、「日没ヨリ日出マテノ間臨検、捜索又ハ差押ヲ為スコトヲ得ス」とされ、原則として日没から日の出までは調査に着手できなかった。
一方、調査で押収できる証拠は「物件、帳簿、書類等」とされている。インターネット上のメールなどの電子データが明記されていないため、任意でUSBメモリーにダウンロードして提出してもらうなど、証拠集めに苦労していた。
刑事訴訟法では、夜間の捜査や調査、電子データの押収なども認められており、脱税調査だけが時代遅れになっていた。(奈良部健)