昨年無人化したJR西戸崎駅。平日の通勤時間帯、駅員室にはカーテンが掛かっていた=25日午前8時34分、福岡市東区、長沢幹城撮影
福岡市東区に住む全盲の岩本光博さん(57)は9月末の朝、最寄りのJR西戸崎(さいとざき)駅から列車に乗った。その際、5駅先にある最初の有人駅の香椎(かしい)駅に電話し、香椎駅と博多駅での乗り換えの手伝いを頼んだ。
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だが、両駅とも駅員が現れない。香椎駅では同じホームの反対側まで杖をついて歩き、自力で乗り換えたが、巨大な博多駅ではホームで立ち往生した。転落が頭をよぎり、冷や汗が噴き出す。その様子を見かけた女性の案内で地下鉄にたどり着いた。
昨年3月の無人化まで西戸崎駅では駅員が乗車を手助けし、正確に乗車位置や時間を伝えられない岩本さんの代わりに乗換駅に連絡してくれていた。
無人化後もJR九州は岩本さんの電話連絡を受け、乗り換えを助けてきた。だが、広報部によると、この日は通勤時間帯で客が多く、発見できなかったという。広報部は「前日までに連絡があれば無人駅にも人を出して対応できます」と話す。
岩本さんは「障害者は前日に予定を決めないといけないのでしょうか」とつぶやき、こう続けた。「同じことがまた起きないか。出かけるのが不安です」
上場を見すえた鉄道部門のコスト削減策の柱として約100駅を無人化する――。JR九州ができてから最大規模の駅の無人化計画を同社幹部が取材に打ち明けたのは、昨年1月だった。昨年3月にJR九州は32駅、今年3月にも9駅を無人化し、全567駅中291駅を無人にした。来年3月にも北九州市の若松駅など7駅を無人化する方針を明らかにしている。
無人駅では定期券や特急券は買…