5回無失点と好投した日本先発の千賀=諫山卓弥撮影
(15日、WBC2次リーグE組 イスラエル3―8日本)
2017WBC特集
ストンと落ちて、打者の視界から消えるフォーク。150キロ超の速球とのコンビネーション。実力通りの投球をみせた千賀が、イスラエル打線を沈黙させた。
ピンチらしいピンチは三回だけ。先頭を死球で出して、犠打などで2死三塁。迎えた2番打者を連続のフォークで追い込み、3球勝負。ひざ元への152キロで見逃しの三振に仕留めた。
「ゼロに抑えられたのが一番。いいピッチングだった」。WBCでの初先発が5回1安打無失点。納得の笑顔を浮かべた。
2次リーグ最終戦は、失点を最小限にできるかが焦点だった。負ければオランダ、イスラエルと2勝1敗で並び「失点率」で順位が決まる。1点が明暗を分けかねず、日本ベンチは誰に先発を託すか悩んでいた。
先発陣は1次リーグから前夜までの5試合で防御率5・89。序盤から失点する場面が続いた。そこで抜擢(ばってき)されたのが千賀だ。2試合に救援し4回無失点。所属するソフトバンクでは先発で、昨季は12勝(3敗)を挙げている。実績も状態も、うってつけだった。
期待に応えた裏で、実は五回の時点で左足がつっていた。63球の一球一球に力を込めた証し。「(先発でも救援でも)ゼロで抑えるという気持ちでマウンドに上がることしかできない。自信を持ってやっていきたい」と右腕。6戦全勝で、舞台はアメリカに移る。準決勝で敗れた4年前の雪辱へ、勢いは十分だ。(松沢憲司)