テレビが備え付けられた賃貸住宅のNHK受信料は、住宅の管理者と住民のどちらが支払うのか。入居していた男性が、支払い済みの1カ月分の受信料1310円の返金を日本放送協会に求めた訴訟の判決で、東京地裁(佐久間健吉裁判長)は27日、「男性との受信料契約は無効」と判断し、受信料を返金するようNHKに命じた。NHKは即日控訴した。
判決によると、男性は勤務先の都合で、昨年10月から約1カ月間、兵庫県内の家電付き賃貸住宅に住んだ。その間、訪問してきた受信料の収納委託業者の求めで受信料契約を結び、実際に支払った。
放送法は、「放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に受信料の支払いを求めると定めている。判決は、受信料について「放送を見ているかどうかを問題としない『特殊な負担金』だ」と指摘。その上で、今回の場合では受信設備を設置したのは物件のオーナーや管理会社であって男性ではないと判断し、「受信設備を持っている人が設置者にあたる」とするNHKの主張を退けた。
判決を受け、原告代理人の前田泰志弁護士は「法律の文言通りに認められた正当な判決だ」と評価。NHK広報局は「契約を締結する義務が居住者側にあることを、引き続き二審で訴えていきます」とコメントした。(塩入彩)