検察側が主張する、元警部銃撃事件の構図
指定暴力団工藤会(北九州市)が市民らを襲撃したとされる一連の事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人未遂)などの罪に問われた元工藤会系組員の和田和人被告(37)の初公判が1日、福岡地裁(松藤和博裁判長)であった。被告は事件への関与は認め、殺意を否認した。
特集:工藤会
2014年9月にトップで総裁の野村悟被告(69)が逮捕されて以降、一連の事件が法廷で審理されるのは初めて。検察側は、野村被告やナンバー2の田上不美夫被告(60)らにしか襲撃の動機が存在しないと指摘。最高幹部らが主導した組織的な事件と訴えた。
和田被告が関与したとされるのは①12年4月、北九州市小倉南区の路上で福岡県警元警部の男性(当時61)が銃撃された事件、②同8月、暴力団排除の標章を掲げた店が入る同市小倉北区のビルが放火された事件、③14年5月に同区の駐車場で歯科医師の男性(当時29)が刺された事件。
被告は、銃撃事件と刺傷事件で移動用のバイクを事前に盗んだり、実行役を送迎したりしたとされる。放火事件では実行役らとともに現場に行き、エレベーターに火を付ける役を担ったとされる。当時は組員だったが、その後離脱した。
被告は起訴内容について、銃撃事件で襲撃に使われたバイクの窃盗は認めたが、殺意は否認。放火事件はおおむね認め、刺傷事件は「関わったが殺意はなかった」とした。弁護人も「被告は末端の組員で、事件の全容や事情を知らずに関与した」と主張した。
検察側は冒頭陳述で、元警部は…