患者の予期せぬ死亡を調べる国の医療事故調査制度で、昨年10月の運用開始から1年間で報告された、医療機関が自らする院内調査161件のうち、40件(25%)で調査委員会に外部委員が参加していなかった。第三者機関の日本医療安全調査機構が2日、発表した。遺族が調査に納得できず、機構に再調査を依頼したのは13件に上った。木村壮介常務理事は「院内調査は公平性、中立性を確保するため、外部委員が参加するのが望ましい。病院への周知を図るとともに、委員の推薦体制整備など支援を充実させたい」と話す。
この制度は、患者の予期せぬ死亡事故が起きた医療機関・助産所が自ら原因などを調べ、結果を同機構と遺族に報告する。
昨年10月~今年9月に提出された院内調査報告書161件を機構が分析したところ、再発防止策の不記載も19件に上った。遺族からの意見の記載は59件にとどまった。
事故の届け出数は1年間で388件で、当初想定した年1300~2千件を大幅に下回った。患者が死亡してから届け出るまでは平均31・9日で、最長は237日。届け出対象となるか、医療機関が判断に迷うケースも多いとみられ、厚生労働省は6月に省令を改正し、届け出基準の統一化を進めている。(黒田壮吉)