列車の前を横切るエゾシカ=2014年4月、北海道根室市
列車が野生動物とぶつかる事故が後を絶たない。なぜか1年ごとに増減を繰り返しながら、じわじわと増えている。例年の傾向通りだと、偶数年度の今年度は「当たり年」。実際に、JR東海では昨年度より6割増のペースで増えている。鉄道会社はあの手この手で対策をとるが、決め手はない。
10月31日午後5時40分ごろ、山形県内を走行中の山形新幹線がカモシカとぶつかった。車両点検などで列車2本が最大52分遅れた。
野生動物と列車の衝突は多く、JR東日本管内に限っても「25日午後、八戸線が青森県内で鹿と」「24日夜、磐越東線が福島県内でイノシシと」「24日夜、東北線が宮城県内で小動物と」「23日夜、山形線が山形県内で熊と」といった具合だ。列車を止めて点検し、死骸をどけたり、穴を掘って埋めたり。ダイヤは乱れ、車両の修理が必要になる時もある。第一、乗客にとって衝突は危険だ。
そこで国土交通省は、2009年度分から全国の鉄道会社の列車が動物との衝突が原因で運休・遅延(30分以上)した件数を集計、公表し始めた。その結果、1年ごとに増加と減少を繰り返している傾向が浮かび上がった。国交省の担当者は「なぜそうなるのか分からない」と首をかしげる。
JR東海で例年の傾向通り、昨年度の4~8月の衝突は20件だったのに対し、今年度の同時期は32件。6割増のペースで増えている。だがやはり、「理由は不明」(広報)だ。
熊は餌のドングリなどの豊作や…