最高裁の弁論終了後に記者会見した煙石博さん(左)=東京・霞が関
銀行内に置き忘れてあった封筒の現金を盗んだとして、窃盗罪に問われた元中国放送アナウンサーの煙石博(えんせきひろし)被告(70)について、最高裁第二小法廷(鬼丸かおる裁判長)は17日、検察側、弁護側双方の意見を聞く弁論を開いた。弁論は二審判決を変更する際に開かれ、有罪とした二審判決が見直される可能性がある。
煙石被告は2012年、広島市内の銀行で、記帳台にあった封筒から現金約6万7千円を抜き取ったとして、起訴された。一、二審判決は、記帳台に近づいたのは被告だけだとして、懲役1年執行猶予3年の有罪とした。
17日の弁論で弁護側は「封筒にはそもそも現金は入っていなかった」と無罪を主張。「客観的な証拠がないのに有罪とした一、二審判決は『推定無罪』の原則に反し、破棄すべきだ」と訴えた。検察側は上告の棄却を求め、結審した。判決日は後日指定される。
弁論後に記者会見した煙石被告は「私は無実だ。検察側の弁論は有罪ありきの非常識な内容で、言い表せないほどの怒りを感じた。最高裁には、正義と真実に基づいた公正な判断をお願いしたい」と述べた。