イタリア中部ノルチャで1日、被災した教会から消防士が運び出した絵画。伊消防局提供=AP
8月下旬から連続して大地震に襲われたイタリア中部で、政府が文化財の「救出」を急いでいる。被災地ではまだ多くの美術品ががれきに埋もれており、天候が崩れがちな冬を前に、懸命の搬出活動が続く。
10月26日、被災地の教会などから運び出された美術品約1300点の一部が報道陣に公開された。一連の地震で最も大きな被害を受けたアマトリーチェの南西約50キロのチッタドゥカーレ。政府関連施設の車庫に、被災した美術品がずらりと保管されていた。キャンバスが破損し、原形をとどめていない絵もある。
アマトリーチェから搬出された美術品は、中世以降のキリスト教関連美術が大半だ。コラ・デッラマトリーチェ作の16世紀の絵画「聖家族と幼児聖ヨハネ」やピエトロ・パオロ・バンニーニが15世紀に制作した「聖遺物箱」などがこの車庫に運ばれた。
専門家らは発見場所や日時の目録を作成し、表面についたちりをはけなどで除去する作業を続けている。ただ車庫では温度・湿度が管理できず、環境の改善も課題となっている。
修復にあたる保存修復高等研究所(ISCR)のグラツィア・デチェーザレさん(50)は「美術品は傷みやすい環境に置かれている。1年以内に、修復のための施設を臨時に設けるべきだ」と訴える。
伊政府は、被災した美術品の離…