皮膚疾患向けの注射薬について、中央社会保険医療協議会(中医協=厚生労働相の諮問機関)は9日、いったん約24万円と決めた価格を10万円程度下げることを了承した。中医協では、超高額ながん治療薬「オプジーボ」の値下げ議論をしており、厚労省の規定に基づく当初の価格が「高すぎる」との批判が出た。
新薬は「トルツ」で、皮膚が赤くなってはがれ落ちる乾癬(かんせん)と呼ばれる病気に使う。患者は国内に推計50万人以上いる。8月の中医協で、先行販売されている英国と米国での価格や似た効能の薬の価格を参考に1回分で約24万5千円と了承。高額なため中医協は「使用は類似薬を使っても効果が出ない場合に限る」との条件をつけた。
ところが、売り出す前に発売元の製薬会社・日本イーライリリーが条件に難色を示して申請を取り下げた。10月に再申請して厚労省が価格を再計算したところ、ポンド安で米国での価格が英国の3倍を超え、高すぎる国の価格は参考にしないという規定に基づくと約14万6千円になった。
中医協では「14万円でも利益が出る薬を24万円で売るつもりだったのか」といった批判が噴出。厚労省は2018年4月の次期薬価改定に向け、制度の見直しを検討する姿勢を示した。(生田大介)