患者1人で年間約3500万円かかる高額な新型がん治療薬「オプジーボ」について、政府は薬価を緊急的に50%引き下げる方針を固めた。厚生労働省は25%引き下げる方針だったが、首相官邸側が難色を示し、下げ幅を拡大する。16日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に提案。来春までに値下げする。
オプジーボは2014年9月に皮膚がんの薬として発売され、年470人程度の患者で採算がとれるように価格が高めに設定された。ところが、昨年12月に肺がんにも使えるようになり、対象患者が約1万5千人に拡大して販売額が急増。英国や米国での薬価の2~5倍に上ることもあって「高すぎる」という批判が強まり、2年に1度の薬価改定(次回は18年4月)を待たず緊急的に値下げすることで調整していた。
値下げ幅は、薬の販売額が急増した場合のルールを活用。年間1千億円から1500億円なら最大25%、1500億円以上なら最大50%引き下げる仕組みだ。オプジーボはメーカーの見込みでは出荷額ベースで1260億円だが、厚労省は流通経費などを乗せると販売額が1500億円を超えると判断した。(生田大介)