トランプ次期大統領の首席戦略官・上級顧問スティーブン・バノン氏が昨年、シリコンバレーにアジア系の最高経営責任者(CEO)が多いと指摘した発言をワシントン・ポスト紙(WP)が15日報じ、波紋が広がっている。
特集:ドナルド・トランプ氏
WPによると、バノン氏は2015年11月、ラジオ番組でトランプ氏と対談した。トランプ氏が「多くの外国人留学生が、米国の有名大学を卒業後に米国を離れている」と指摘。優秀な外国人は米国につなぎとめるべきだと語った。
これに対し、バノン氏は一瞬間を置き「シリコンバレーの3分の2、あるいは4分の3のCEOが南アジアやアジアの出身であることを考えると……」と言いよどんだ。そして、「国家というのは経済だけではない。市民社会でもある」と、トランプ氏にやんわりと異議を唱えた。
WPの報道を受け、ネットメディアなどで「バノン氏はシリコンバレーにはアジア系CEOが多すぎると示唆した」といった報道が広がった。
バノン氏が挙げた数字の根拠は明らかではない。昨年の調査では、シリコンバレーの住民の約35%が外国生まれ。アジア系は米国全体では5%あまりだが、シリコンバレーのIT企業の中には従業員の3割以上がアジア系という企業もある。強硬な移民対策を掲げるトランプ氏以上に移民に否定的なバノン氏が政権中枢に入り、シリコンバレーに警戒感が広がりそうだ。(サンフランシスコ=宮地ゆう)