「アジアの給水塔」にはどれほど多くの水があるのだろうか。第2回青蔵高原(チベット高原)総合科学調査研究隊の大まかな推算によると、アジアの給水塔の氷河の量、湖沼の水量、主要河川の山から流出する地点の流出量の合計は9兆立方メートル以上にのぼる。中国科学院青蔵高原研究所への取材で分かった。科技日報が伝えた。
青蔵高原及び周辺の高山地帯は地球の第三極、アジアの10数本の大河の水源地で、アジアの給水塔と呼ばれる。第三極地域の氷河、積雪、凍土、湖沼、河川などがアジアの給水塔水量の主な構成部分となる。うち氷河の面積は約10万平方キロメートル、長期積雪面積は約30万平方キロメートル、永久凍土面積は約130万平方キロメートル、湖沼面積は約5万平方キロメートルとなっている。
第2回青蔵高原総合科学調査研究隊隊長で、中国科学院青蔵高原研究所の姚檀棟院士は、「アジアの給水塔にどれほど多くの水があるかを明らかにするため、我々はその氷河の量、湖沼の水量、主要河川の山から流出する地点の流出量を大まかに見積もった」と述べた。
氷河の量は氷河の面積と厚さによって決まる。中国科学院青蔵高原研究所の◆光剣研究員(◆は烏へんにおおざと)は「氷河の面積は現在、容易に得られるが、氷河の厚さを広範囲の実地で測量する技術と手段が依然として不足している」と述べた。実地調査した代表的な氷河の厚さに基づき、氷河の厚さ模型を利用することで、研究チームは第三極の氷河の量を約8850立方キロメートルと大まかに見積もった。これは水量に換算すると約8兆立方メートルにのぼる。
青蔵高原は中国の湖沼分布が最も集中している地域で、面積1平方キロメートル以上の湖沼は約1200ヶ所ある。面積が50平方キロメートル以上の湖沼の実測結果に基づき、研究者は青蔵高原の湖沼の水量を約8150億立方メートルと見積もった。
研究チームはさらに青蔵高原を水源地とする主要河川の山から流出する地点の流出量を推算した。2018年度の観測とリモートセンシング推算の結果によると、黄河、長江、瀾滄江、怒江、雅魯蔵布江、恒河、印度河、阿姆河、錫爾河、塔里木河、伊犁河、黒河、疏勒河という13本の主要河川の流出量は約6560億立方メートルとなっている。
姚氏は「そのため、アジアの給水塔の氷河の量、湖沼の水量、主要河川の山から流出する地点の流出量の合計は9兆立方メートル以上にのぼる。積雪と凍土の水量についての推算は進行中だ」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年12月23日