フィリピンのダバオ空港で17日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開催地リマへ出発する前に会見するドゥテルテ大統領=AFP時事
フィリピンのドゥテルテ大統領は17日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開催地・リマへ出発前の会見で、ロシアが16日に国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)に加盟しないことになったのを受けて、「私も後を追うかもしれない」と述べ、既に加盟しているフィリピンの離脱を示唆した。また、「中国とロシアが新たな秩序をつくるなら、真っ先に参加したい」と話した。
ICCは、集団殺害や人道に対する罪に関わる個人を訴追・処罰する国際司法機関。会見でドゥテルテ氏は、フィリピンで多くの人が殺害されている「麻薬戦争」に懸念を示すオバマ米大統領や国連を改めて批判。「我々のような小さな国ばかりがたたかれる」と不満を述べた。
ドゥテルテ氏の発言に先立つ16日、ロシアのプーチン大統領はICCの設立条約(ローマ規程)への署名を不承認とするよう命令していた。ICCがロシアのクリミア半島併合に批判的な報告書を出したことが一因とみられている。
ドゥテルテ氏の麻薬犯罪撲滅の取り組みをめぐっては、今年10月にICCの主任検察官が「殺人を許すような発言をしている」と批判する声明を出し、状況をみて予備的捜査に入るかどうかを判断するとしていた。(ハノイ=鈴木暁子)