米オバマ政権は18日、今後5年間の米沿岸での原油・ガス開発の最終案を公表した。環境保護団体などが反対していた北極海での開発許可を見送る内容だ。資源開発に積極的なトランプ次期大統領の就任前に先手を打ち、政策変更をしにくくする「トランプ封じ」の狙いがあるとみられる。
米内務省によると、最終案は来年から2022年までの採掘が対象。すでに開発中のメキシコ湾で10カ所、アラスカ南部沖の1カ所でも採掘を認めたが、当初の案で候補に挙がっていた北極海の2カ所については対象から外した。ジュエル内務長官は声明で「独特で魅力的な環境や、(原油価格の低下などで)企業側の関心が薄れていることから、北極海は見送るのが正しい道だ」と述べた。
米国の海底油田開発は、政府が5年ごとに計画を定める。今回も2年前から企業や関係者の希望や意見を募り、環境影響評価なども行った上で最終案を取りまとめた。トランプ政権の誕生前に承認される見通しで、来夏から正式に発効する。トランプ氏が計画を撤回しても、新たな計画の策定には数年かかるという。
オバマ大統領は09年、温暖化対策や環境保護の一環で、ブッシュ政権時代の採掘計画を縮小した。トランプ氏は選挙中の今年9月、「国の9割の海域で採掘が禁じられている。我々は、国内資源を最大限に活用する」などと語っていた。(ワシントン=小林哲)