ソロモン諸島トゥハ島の海の浅瀬に沈む旧日本軍の零式水上偵察機=朝日新聞社機「あすか」から、橋本弦撮影
機窓の雲の切れ間から、火山島が姿を現した。サイパン島の北約290キロにある無人の「パガン島」だ。
朽ちた艦船・零戦…南洋に今も 「餓島」と呼ばれた島
写真特集:戦火の残響 南洋を巡る旅
特集「戦火の残響」
同島には太平洋戦争中、旧日本軍が飛行場と守備部隊を置いた。公刊戦史によると、島で米軍の空襲が本格化したのは1944年6月12日。対空戦を挑んだ守備部隊は同年9月以降、弾薬節約のために反撃を中止した。敗戦まで、1日平均20機から爆撃を受けた。
活火山の南にある飛行場の滑走路跡は今、東半分が戦後の噴火による溶岩流に埋もれ、西半分には爆撃によるクレーター状の穴が多数残る。その滑走路の西端に、零戦の残骸が見えた。
零戦の残骸は激戦地のパラオ諸島にも、「餓島(がとう)」と呼ばれたガダルカナル島の密林にもあった。同島の北西約500キロのトゥハ島には、同じ頃使われた零式水上偵察機も眠っていた。
零戦の正式名称は「零式(れい…