望まない妊娠による出産や虐待などを理由に実の親が育てられない子どもを対象に養子縁組をあっせんする民間事業者を規制する法案が、今国会で成立する見通しとなった。参院は先月、全会一致で可決。与野党は来週中に衆院でも審議し、14日の会期末までに成立させることで合意した。
与党が年金制度改革法案の衆院採決を強行した影響で、衆院厚生労働委員会は開けない状態だった。だが、民進党の山井和則国対委員長は2日の記者会見で規制法案について「確実に臨時国会で成立させようと合意した」と明かした。
養子縁組のあっせん事業は都道府県に経営者の名前などを届け出ればできる。昨年10月時点で22の個人・団体が届け出ている。今年9月には千葉県の団体が養子縁組を希望する親から不当な現金を受け取ったとして、県から事業停止命令を受けた。法案は事業を許可制にすることが柱で、悪質な事業者の排除をめざす。
社会福祉法人や医療法人など経営基盤が安定し、営利目的でないことなどを許可基準に規定。個人情報の適切な管理も徹底する。無許可でのあっせんには1年以下の懲役など罰則を設ける。あっせんの際には、専門的な知識や技術に基づき実の親や養子を迎える親、子どもらを支援することも義務づける。国や自治体には事業者への財政支援や研修の実施などを促す。(伊藤舞虹)