夕食の時間、入居者の口におかずを運ぶジョイ・スペリオリダッドさん(左)=10月12日、滋賀県長浜市
人手不足が深刻化する介護職では、すでに数千人の外国人が働いている。その多くを占めるのが日本人との間で結婚したり、子を産んだりして就労に制限のないフィリピン人女性だ。外国人受け入れ制度の外で現場を支えてきたが、職場への定着や労働条件に課題も抱える。
人手不足の介護、頼みは外国人 待遇・言葉の習得に課題
介護とわたしたち
滋賀県長浜市の琵琶湖畔に立つ2棟の特別養護老人ホーム。経営する社会福祉法人・湖北真幸会はフィリピンから24人を来日させ、ここで雇ってきた。その子ら19人は地元校へ通った。
この43人はフィリピン人女性と日本人男性との間に生まれたJFC(ジェイエフシー、ジャパニーズ・フィリピノ・チルドレン)と、その母親だ。2008年の国籍法改正で、未婚の両親の子が、父親の生後認知でも日本国籍を取れるようになり、来日が急増。同法人も現地の支援団体を通じて、日本での就労を望む母子を受け入れた。
12年来日のジョイ・スペリオリダッドさん(45)はマニラ近郊の出身。遠洋漁業で寄港する日本人船員との間に、未婚のまま息子2人を産んだ。父親は音信不通になったが、「子どもにいい教育を受けさせたい」と来日を決意。1年の研修中に法人が宮城県に住む父親を捜し出し、息子らは認知を受けた。長男は県立高に進学し大学を目指す。
ただ、法人が雇った24人のうち、施設に残るのは3人だけ。首都圏など都市部に移った職員が多く、母子16人は突然、姿を消した。佐武晃幸(てるゆき)理事長(52)は「国籍取得を支援しつつ職員の確保になればと続けてきた。日本人職員の間には、裏切られた、という思いもある」と話す。
法務省によると、国籍法改正以…