2018年3月末に閉鎖予定の大阪市立住吉市民病院(住之江区、198床)の敷地内に作る新たな民間病院の建設計画が、建築基準法の基準を満たせないことがわかった。計画の見直しが必要で、開業は2年遅れ、民間病院に約11億5千万円の負担が生じる。市は公費負担も検討しており、6日の市議会で「あまりに初歩的なミス」などと批判が相次いだ。
住吉市民病院は2012年、当時の橋下徹市長の下、約2キロ離れた府立病院との統合が決まった。市は閉鎖後の対策として民間病院を誘致。住之江区内で病院を運営する医療法人が、病院を移転し、敷地北側に産婦人科と小児科を含む200床規模の新病院を建てることになった。
しかし、医療法人が7階建ての建設計画を作ったところ、周辺住宅が日影になる時間などを制限した建築基準法の基準を満たさないと判明。周囲に住宅がない敷地南側に建設場所を変更するため、移転が遅れる。
市と医療法人は地域に「医療空白」が生じないよう、閉院後の市民病院で暫定的に診療すると合意。医療法人は2年間、2カ所で病院を運営しなければならず、吉村洋文市長は公費負担について「市にも責任はある。税の投入をするか慎重に判断する」と述べた。